おわりに「受験うつ」光文社新書


「子どもが“受験うつ”になってしまったのは、私のせいなんですね…」

私のクリニックに来院されたお母様の多くが、“受験うつ”の原因をお伝えすると、ガックリと肩を落とされます。

本書でご説明した通り、発病にお母様とのコミュニケーションが関与しているのは否定しようがない事実です。

 

ただし、密接な母子関係が全面的に良くないものだというわけではありません。

子どもの自己愛が膨らむのは問題ですが、同時に脳機能が刺激を受けるため、いわゆる頭の良い子に育ちます。

実際、私自身も大学入試のときに“受験うつ”になってしまいましたが、それと引き換えに思考力の高い頭脳に育ててもらい、トータルでは母親にとても感謝しています。

 

「子どもは、放ったらかしにすればいい」という人もいますが、エリートに育てたければ、それは完全に間違いだと断言します。

大事なのは子どもの脳機能や心理を正しく理解した上で、適切に導いてあげることです。

それができるのなら、母子関係は、むしろ密着であるほど望ましいと私は考えています。

どのように接すればいいのかについては、「受験生の母親塾」などのセミナーや講演会を開いています。

興味のある方はお気軽にご参加ください。

 

また、志望校に合格するために何よりも大切なのは集中力です。

私が代表を務める受験医学研究所では、“受験うつ”の方はもちろん、そうではない受験生も含め、集中力をアップさせるプログラムを行っています。

たった30分間、脳に磁気刺激を与えるだけで受験のストレスが和らぎ、集中力が回復します。

特に、数多くの大学や中学を片っ端から受ける受験生は、連日の試験で脳が疲労してしまうため、こうした治療がとりわけ必要です。

ぜひ、こちらのホームページをご覧ください。http://syuchuryoku.com/(受験医学研究所)

 

 

受験は心身ともに極限状態に追い込みます。

私自身も“受験うつ”に陥ったときは、世の中から入試が消えてなくなればいいのにと思っていました。

しかし、それを乗り越えた今、受験が自己管理能力を授けてくれたことに感謝しています。

生涯、ぬるま湯の中でストレスを感じずに生きるというのも、人生の一つのあり方です。

でも私は、たとえ厳しい関門であっても、夢に向かってチャレンジする人生を何度でも選びたいと思います。

本書が、そんな考えに賛同する方の一助になれば、著者として最高の喜びです。

 

「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」

光文社新書 

 

吉田たかよし 待望の新刊本!

12月16日、発売決定!

 

<目次>
第1章 増える受験うつ
第2章「受験うつ」のメカニズム
第3章 受験うつは答案用紙に表れる
第4章 間違いだらけの治療法
第5章 親のひと言が子どもを受験うつにする
第6章 うつにならない勉強法
第7章 親のコーチングで結果は出せる

 

<内容紹介>
未成年のうつ病、しかも、ストレスが増える受験期に突然発症する人が急増している。
子どもと大人では症状が大きく異なるため、親も受験生本人も発症に気が付かない
ケースが多いのが実情である。
中学受験ではもちろんのこと、高校受験や大学受験で頻発しており、受験生専門外来の
私のクリニックにも、勉強が手につかなくなった多くの受験生が来院している。
受験期のうつで人生を狂わさないために、受験生本人が、家族ができることは何か?
また、脳機能から考えたストレス管理や効率の良い勉強法もまとめた、
うつ病の有無を問わず受験を控えたすべての方に必見の書。