受験生のケアレスミス解消

テストでの点数アップ方法

脳科学が解明する5つの原因と14の対策


 

「わかっているはずの問題を間違えてしまった・・・」

「ケアレスミスの失点が続き、勉強に対するモチベーションが下がってしまった・・・」

受験生のあなたは今、こんな状況に直面して、落ち込んでいるのかもしれません。

 

 

しかし、ちょっと待ってください。

落胆する必要はありません。

ケアレスミスはあなたのせいではなく、脳のメカニズムに起因するものなのです。

 

ですから、あなたの脳の機能に合わせた対策を施すことで、ケアレスミスを大幅に減らすことが可能です。

このページでは、そのため、具体的には何をすべきかを説明しましょう。

 


ケアレスミスの5つの要因

5 causes of careless mistakes


試験でケアレスミスを頻発してしまったとき、それをただの「不注意」のせいだけにしてしまうと、解決にはつながらず、いつまでたってもケアレスミスはなくせません。

 

脳医学の観点から見ると、受験生がケアレスミスを起こす場合、その原因は、主に以下の5つのタイプに分類できます。

それぞれの脳医学的なメカニズムを理解してうえで、それに合致した適切な対策をとれば、ケアレスミスは激減します。

 

 

受験生の脳がケアレスミスを起こす具体的な要因は、次の5つです。

 

 

トンネルヴィジョン効果(Tunnel-vision

注意持続力(Sustained-attention)の低下

③ ワーキングメモリ(Working memory)の低下

④ 情緒不安定(Emotional instability)

⑤ 脳疲労(Neurological fatigue)

 

それぞれについて解説し、脳医学に基づく対策を提案していきます。

 

 


トンネルヴィジョン効果

Tunnel vision


トンネルビジョン(Tunnel vision)とは、ものごとを認識したり考えたりするときに、特定の部分や側面に固執するあまり、全体像を見失ってしまう現象を指し示す用語です。

試験を受けているとき、受験生の脳にトンネルヴィジョンが生じると、一部分だけに気を取られて大事な部分を見落とし、その結果、ケアレスミスを起こしてしまいます。

 

 

トンネルヴィジョン効果は、プレッシャーを感じているときに増大する傾向があります。

脳は不安を感じると、わざと視野を狭くし、狭くなった視野の部分をより集中して認識しようという性質をもっています。

これがトンネルヴィジョンを生み出す原因なのです。

命を脅かす肉食動物から逃れるためには、実はトンネルヴィジョン効果が役立ったため、脳が進化させたわけですが、受験には役に立たないどころか、大きな失点の原因になってしまいます。

 

 

【脳医学に基づく対策】

 

テストの用紙から、目を遠ざけて全体が視野に入るようにする

トンネルヴィジョン効果は一部の情報に過度に焦点を当てるため、全体像を見失う可能性があります。

この効果を軽減するための一つの方法は、テストの用紙から目を少し離して、全体が視野に入るようにすることです。

これにより、受験生は全体的な視野を保つことができ、重要な情報を見落とす可能性を減らすことができます。

 

目を遠ざけることは、テストの用紙のいろんな部分の間で視線を移動する時にも特に有効です。

問題全体を俯瞰することができるので、新たな視点や解答法を見つけるのを助けます。

 

 

大事な部分は指をさす

大事な部分を指すことで、注目すべき要点に焦点を当てることができます。

例えば、数学の問題では重要な数値や式、英語のテストでは主要な単語や句を指すことで、情報の過多からくる混乱を避け、重要な部分に集中できます。

また、物理的に指を動かすことにより、視覚と運動の連携が促進され、情報の理解と記憶に対する助けになります。

 

 

ゆっくりと息を吐く

試験のストレスはトンネルヴィジョン効果を増大させる可能性があります。

この状況を緩和するために、受験生は深呼吸をすることを考慮すべきです。

深くゆっくりと息を吐くことは、ストレスや緊張感を軽減するのに役立ちます。

これは自律神経系を調整し、リラックス応答を引き起こします。

 

この結果、視野が広がり、問題全体に対する明確な理解を助け、トンネルヴィジョン効果を減少させます。

 

 


注意持続力の低下

Sustained attention


脳医学では、試験の問題を解くなど脳に課せられた特定のタスクに対し、長期間にわたり集中力を保つ能力を「注意持続力(Sustained attention)」といいます。

 

試験を受けるときは、60分や90分といった長時間にわたり、問題を解くというタスクに注意持続力を維持する必要があります。

しかし、ときとして注意持続力が低下していると、試験を受けている途中で脳の認知機能を保つことができなくなりず、ケアレスミスを犯すわけです。

 

ですから、このタイプのケアレスミスの特徴は、テストを受けている時間が進行するにつれて誤答率が上昇することが多いということです。

試験の前半ではケアレスミスが少ないのに、試験を受けている途中からケアレスミスが増加してくる傾向がある受験生は、注意持続力の低下を起こしている可能性があります。

 

 

【脳医学に基づく対策】

 

問題を解くごとに心の中で「頑張れ」と注意を促す

実際に発声するということは伴わず、自分自身の心のなかで言葉を発することを「内言」といいます。

内言は自己の行動を抑制,統御,調整する機能を持ち、注意持続力を高める作用と持つことも明らかになっています。

試験を受けているときに、注意持続力の低下を実感するたびに、「頑張れ」という内言を脳内に生じさせると、注意力を維持することを思い起こさせ、これによって目の前の一つ一つの問題に注意を払うことを助けます。

また、受験生が自己効力感を強め、より良いパフォーマンスを出すのにも役立ちます。

 

 

集中力が低下してきたら、右手に力を入れる

物理的な動作は、脳の注意を引きつけ、目覚めさせるのに役立つ可能性があります。

特に右手に力を入れるという行動は、神経が左右を交差して脳とつながっているため、左脳を刺激する効果が高く、これによって注意持続力が高まります。

受験生が集中力が低下していることを認識したら、そのたびに右手を握りしめて力を入れましょう。

これにより、一時的に左脳を刺激し、テストの問題を解くための注意持続力が回復します。

 

 

背筋を伸ばす

この対策は、良い姿勢を維持することが、注意力と集中力を向上させるのに役立つという実験データに基づいています。

脳は、背筋を伸ばす状態が休憩時間ではなく、注意持続力を高める必要がある時間だと認識される性質と持っています。

このため、背筋を伸ばすと、脳は無理をしてでも集中力を改善しようとします。

また、背筋を伸ばすことは、血流と酸素の供給を促進し、これが脳の機能を最大限に引き出します。

 

 


ワーキングメモリの低下

Working memory


ワーキングメモリ(Working memory)とは、短期間で情報を保持し操作する能力を持つ認知システムのことで、脳の背外側前頭前野が中心になって生じます。

例えば、複雑な計算を行ったり、新しい情報を読んで理解したりする際には、脳内の情報処理はワーキングメモリが基礎となります。

 

ワーキングメモリが低下すると、数学の問題を解いたり、長い文章を読み理解するなど、複数の情報を同時に処理しなければならない場合に、特に誤りが生じやすくなる傾向があります。

受験生が計算ミスを連発した場合は、ほぼ全例でワーキングメモリの低下がみられます。

また、国語や英語の読解問題で、著者の主張を間違って認識するといったミスも、ワーキングメモリの低下がもたらします。

 

 

【脳医学に基づく対策】

 

目の前の作業だけにワーキングメモリを集中させる!

たとえば、計算をしている最中も、「このペースだと、制限時間内に解ききれないぞ・・・」とか、「この調子だと、目標としていた点数には届かないな・・・」とか、同時に計算とは違うことも、心の奥底で考えてしまうものです。

この場合も、余計なことを考えるのに脳のワーキングメモリの機能を使います。

だから、計算に充てられるワーキングメモリの容量が低下してしまい、その結果、ケアレスミスが生じてしまうわけです。

ワーキングメモリの低下を補うためには、今、行っている一つの作業だけに、自分の意識の焦点を当てることが効果的です。

 

 

余計なことを考えてしまった場合は、頭の中で音読する!

この対策は、無意識の内に心が分散してしまった場合、ワーキングメモリをリセットし、タスクに再集中させる方法です。

試験中に心が他の事柄へと流れてしまった時、その考えを頭の中で音読することで、脳にその考えが存在することを意識させ、それから意識的にその考えを放棄することができます。

これにより、ワーキングメモリはその他の余計な考えから解放され、試験問題への集中を再開することができます。

 

 

 


情緒不安定

Emotional instability


情緒不安定とは、感情が極端に揺れ動く状態を指すもので、脳内で原始的な感情を作り出す扁桃体が過剰に刺激を受け、理性の中枢である前頭前野がその活動を十分に制御できていないために生じます。

特に受験生の場合、情緒不安定はストレスや不安によって引き起こされ、注意力が散漫になったり、思考がまとまらなくなったりする原因となります。

とりわけ試験のような高度なストレスを伴う状況では、感情の揺れ動きが大きくなる可能性があります。

それによって集中力を失い、ケアレスミスを犯すことが増加するのです。

 

 

【脳医学に基づく対策】

 

サーカディアンリズムを整える

サーカディアンリズム、すなわち体内時計を整えることは、感情の揺れ動きを抑制するために重要です。

不規則な生活習慣や睡眠不足は、体内時計を乱し、ストレスを増加させます。

これが扁桃体を刺激し、情緒不安定を引き起こします。

したがって、適度な運動、定期的な食事、十分な睡眠などを通じて体内時計を整え、情緒安定に役立てることが推奨されます。

 

 

朝食をゆっくり時間をかけてとる

朝食は1日のメンタルの方向性を決定付ける効果があることがわかってきました。

朝食をゆっくりと時間をかけてとることで、メンタルが穏やかな状態で一日をスタートさせることができます。

これにより、試験中も扁桃体の活動が安定する状態を作り出し、感情の安定に寄与します。

また、栄養価の高い朝食をとることで、脳の働きを最適化し、試験中の集中力を高めることも可能です。

 

 

試験の前に目を閉じる

試験の前に目を閉じてゆっくり呼吸をすると、瞑想と同様の効果が生じ、脳をリラックスさせ、情緒を安定させます。

それにより、不安感を軽減し、集中力を高めることができます。

特に、目を閉じて視覚情報が脳に入らないようにすると、脳内でα波が生じ、リラクゼーション効果を引き出します。

これらの方法を実行することで、ケアレスミスを抑制し、試験に臨むための最適な状態を作り出すことが可能です。

 


脳疲労

Neurological fatigue


脳疲労は、長時間の集中や学習によって脳が疲れ果ててしまう状態を指します。

この状態では、新しい情報を効果的に処理する能力が低下し、結果として誤りを生じさせる可能性があります。

特に試験勉強や試験自体が脳疲労の主な原因となることがあります。

 

 

【脳医学に基づく対策】

 

意識的に手作業を増やす

脳疲労を緩和する一つの対策として、意識的に手作業を増やすことが効果的です。

手を使うことで、脳は異なる神経回路を刺激し、以前に使用していた神経回路がリフレッシュされます。

例えば、問題文にアンダーラインを引く、図を描きなおす、大事な部分を四角で囲むなど、試験中に手を使う活動を増やせば、試験の問題を解くことに疲れた脳をリフレッシュさせる助けとなります。

 

 

大事な部分を2秒間見る

情報を正確に記憶するためには、大切な部分をじっくりと見ることが重要です。

大事な部分を2秒間しっかりと見ることで、その情報をより深く脳に刻むことができます。

これにより、脳疲労が生じた場合でも、2秒間をかけて見た部分に関しては脳内で情報処理を正確に行うことができるので、ケアレスミスを防ぐことができます。

 

 

試験と試験の間の休み時間にトイレまで往復するなど歩くようにする

適度な身体活動は脳の疲労回復に効果的です。

試験と試験の間の休み時間に、トイレまで往復するなど歩くことは、脳の血流を改善し、酸素と栄養素を脳に運ぶのを助けます。

また、適度な運動はストレスホルモンのレベルを下げ、リラクゼーションを促進します。

これらの効果により、脳の疲労を和らげ、集中力を回復させることが可能になります。

 

 


ケアレスミスの増加は「受験うつ」の兆候


ここまで解説してきたように、ケアレスミスを起こす脳の誤認識の原因は、不安感や不満などネガティブな感情を生み出す脳の扁桃体の過剰な活動と関連しています。

これが病的な状態まで拡大したものが「受験うつ」です。

実際、「受験うつ」に罹患すると、ケアレスミスがとても多くなります。

 

 

もし、ご紹介した対策を実行してもケアレスミスがなくならない場合は、脳が「受験うつ」の状態に陥っているか、あるいはその前段階の状態になっている可能性があります。

この場合は、本郷赤門前クリニックが提供している「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」がおすすめです。

 

これは最新の脳医学を活用して扁桃体の過剰な活動を正常化させることで、ケアレスミスが減少します。

さらに脳のワーキングメモリを増強さることによって、学力自体が高まって飛躍的に成績がアップする場合もあります。

これによって志望校合格を勝ち取った受験生が数多く輩出されています。

 

「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」については、こちらのページをご参照ください。

 

 

 

磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コースの中で特に重視しているのは、受験に特化した光トポグラフィー検査です。

脳の状態を可視化すると、成績を改善させる脳医学的な方法が明らかになります。

 

 

受験に特化した光トポグラフィー検査については、こちらのページをご参照ください。

 


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「Dr.吉田の受験うつ総合解説」

 

 

「受験うつ」は、入試の不安や受験勉強による脳疲労によって発症する「うつ症状」の総称です。

実際には、「受験うつ」には、様々な原因や様々な症状が含まれており、一つの病気というわけではありません。

 

そこで、このような多様な「受験うつ」を様々な角度から理解していただくために、「受験うつ対策ガイド 合格への道を開く情報が満載 Dr.吉田の受験うつ総合解説」というページを設けています。

総合解説というネーミングの通り、ありとあらゆるタイプの「受験うつ」網羅して解説しているので、ご自分の症状がご説明しているどのタイプにも当てはまらないということは、まず、ないでしょう。

 

また、このサイトは、「受験うつ」に関するハブページになっています。

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ぜひ、まずはこちらの記事をご一読いただきたいと思います。