このページの要点は?
✓ 若い世代を中心にメンタル面が脆弱になった影響で、受験生の家庭内暴力は急速に拡大しています。
✓ もともとは性格的に優しく、考え方も理知的であった子どもに多い傾向があり、従来の一般的な家庭内暴力とは正反対の特徴を持っています。
✓ 根本的な性格(気質)は遺伝でかなりが決定されており、受験生が親に対し暴力を振るうようになった場合、それは性格が変わったためではなく、脳機能に異常が生じた可能性が高いと捉えるべきです!
✓ ご家庭で誰でも簡単に実践できる、受験生の家庭内暴力を改善させる6か条の鉄則をご紹介します!
✓ 「受験うつ」を中心に、受験ストレスは気合や精神力で対処できるものだといった誤解と古い偏見が、家庭内暴力を招く元凶となっています!
✓ 受験に特化した光トポグラフィー検査を受診し、受験生の脳にどのような問題が起こっているのかを解き明かすことが、家庭内暴力の解消と志望校への合格を勝ち取る上で最良の方法です。
ポイント!
「優しかった我が子が、受験のストレスで暴力を振るうようになってしまった・・・」
「朝、起こそうとしたら、突然、息子に殴られてしまった・・・」
世間では、あまり知られていないようですが、受験生による家庭内暴力は決して少なくありません。
当院を受診する受験生のご家庭のうち、3割程度は、何らかの形で家庭内暴力の悩みを抱えています。
ただし、誤解してほしくないのですが、暴力を振るってしまう受験生の大半は、決して乱暴なお子さんではありません。
むしろ、もともとは優しい性格で、暴力を振るっているその瞬間も、心の底では親のことを大切に思っているものです。
また、本来の性格は、粗野というよりも理知的で、ものごとを論理的に考えるタイプが少なくありません。
この点で、受験生の家庭内暴力は、世間の人がイメージする従来の一般的な家庭内暴力とは、まったく正反対だといえるのです。
ポイント!
ほとんどの場合、家庭内暴力の本当の原因は、受験勉強に伴うストレスや不安感の暴走にあります。
しかも、その背景には、受験うつなどのメンタルな病気が隠れている場合が驚くほど多いのです。
愛する我が子に暴力を振るわれた親御様のお気持ちは、察して余るものがあります。
しかし、ぜひ、忘れないでいただきたいのは、暴力の本質が脳機能のsosサインだということです。
子どもが親に対して暴力を振るうというのは、日本に限らず、先進各国で頻発しています。
このため、メンタル医学では、
12歳以下の場合は、CPV (Child on Parent Violence) 、
13歳以上の場合は、APVA(Adolescent to Parent Violence and Abuse )
と呼ばれ、専門的な研究が進んでいます。
その結果、明らかになってきたのは、医学的にしっかりと適切な対処をすれば、受験生の家庭内暴力は、きれいに治せるということす。
また、このことが、合格への最短ルートでもあるのです。
ポイント!
まず、ご家庭で誰でも簡単に実践できる、受験生の家庭内暴力の対処の方法をご紹介します。
ぜひ、次の6か条を実践してください!
6カ条その1:受験生に説教をしない!
もともと粗暴なため家庭内暴力を振るう子どもの場合は、教え諭すことも必要です。
しかし、本来は優しかった子供が受験ストレスによって暴力を振るうようになった場合は、家族に暴力を振るうことが良くないことは、脳の前頭前野が生み出す理屈としては十分に理解しています。
にもかかわらず暴力を振るうのは、脳の大脳辺縁系が生み出す衝動を抑えきれなくなるからです。
この部分を改善しない限り、受験生の暴力は収まりません。
説教をしたり、論争をしたりすると、ストレスが増すため、一般的には暴力は悪化します。
6カ条その2:放置もしない!
かといって、暴力を振るう受験生を放置してもいけません。
志望校になんとしても合格したい・・・。
でも、このままでは合格できない・・・。
受験生の脳に生じた精神的ストレスは、入試の日程が近づくほど大きくなります。
放置しておくと通常は暴力が激しくなり、入試の前夜、あるいは入試の当日に刑事事件につながるような暴発を起こす危険もあります。
6カ条その3:まずは共感していることを伝える!
暴力を振るうこと自体には、共感の余地はまったくありません。
また、暴力そのものについて、一切の共感は示してはいけません。
しかし、暴力を振るう原因となった受験に対する精神的苦痛には、ご家族として共感できる点が多数あるはずです。
その部分をはっきりと言葉にし、寄り添う気持ちであることを伝えてあげましょう。
6カ条その4:はじめはオオム返しでいい!
とは言え、共感する気持ちを言葉にすることは、決して簡単なことではありません。
実際、私自身もカウンセリングの臨床研修で、共感の言葉を伝える訓練を行いましたが、急にはスキルアップできず、長い診療経験を通して、やっと言葉にできるようになったのが実態です。
ただし、一つだけ、誰でも共感の気持ちを伝えられる臨床テクニックがあります。
それは、相手のいった言葉を、そっくりそのままオオム返しすることです。
たとえば、
受験生「オマエの足音がウルサイ!」
母「私の足音がウルサイのね・・・」
受験生「オマエの頭が悪いから、オレの頭も悪くなったんだ!」
母「私の頭が悪くて、あなたの頭も悪くなったと悩んでいるんだ・・・」
これなら、誰でも簡単に実践できますが、共感している気持ちはかなり相手に伝わります。
共感している気持ちが子供に十分に伝わった段階で、夕食後にデザートを食べさせながら悩みを整理してあげましょう。
食後は血糖値が上がるので、比較的、穏やかな心理になります。
また、朝食や昼食に比べ、夕食後はより副交感神経系が優位となり、落ち着いて話を聞いてくれるようになります。
6カ条その6:それでも改善しない場合は専門の検査を!
ご家族ができることは6か条のその5までです。
それでも改善しない場合は、脳や心に病的な問題が生じている可能性があり、専門の医療機関で検査を受けていただくことが不可欠です。
実際、当院でも検査の結果、受験うつなどのご病気が見つかる場合が多いのですが、こうしたケースでは病気自体を治せば、受験生の暴力もなくなり、成績も急上昇するので第一志望への合格率も跳ね上がります。
病気が見つかることを怖がる人が多いのですが、受験生に限って言うと、精神的な歪みや心の腐敗が原因であるよりはるかに予後がよく、病気が見つかるというのは幸運だとも言えます。
あきらめてはいけません。
我慢してもいけません。
勇気を出して、ぜひ、当院にご相談ください。
ポイント!
家庭内暴力を行ってしまう受験生に対して、受験に特化した光トポグラフィー検査を行うと、少なくとも当院の場合は、全体の約7割で「受験うつ」が見つかります。
実は、家庭内暴力が「受験うつ」の症状である場合が極めて多いのです。
このことを親御様に告げると、ほとんど例外なく驚かれます。
暴力と「うつ病」が、頭の中でまったくつながらなかったとおっしゃるケースが大半です。
その背景には、「受験うつ」に対する誤解があります。
ポイント!
「うつ病」というと、落ち込んでおとなしくなるものだと思い込んでいる方が多いようです。
確かに中高年のうつ病では、そのようなケースが多いのは事実です。
ただし、若い世代の「うつ病」に関していえば、ご家族に暴力を振るうというのは、決して珍しいことではないのです。
若い受験生の脳は、「うつ病」になった場合も、エネルギーが比較的、保たれています。
にもかかわらず、「うつ病」によって我慢する能力が大幅に低下すると、大切に思っている親に対しても理性による歯止めが効かなくなり、暴力という行為に至ってしまうのです。
ポイント!
さらに、近年、若い世代には、俗にいう「新型うつ」が増加しています。
この場合は、本人に悪気がなくても、何か問題が生じたときは、自分ではなく他人のせいにしがちです。
これを、「他罰的性格」といいます。
うつ病による心のコントロール能力の低下に、「他罰的性格」が加わると、受験勉強のイライラが結果として家庭内暴力に発展してしまうわけです。
こうした本質を理解しない限り、受験生の家庭内暴力を封じることはできません。
ポイント!
「受験を最優先したいので、試験が終わるまでは、家庭内暴力は我慢します・・・」
親御様に対してカウンセリングを行い、ご意向を伺うと、このように話される方が少なくありません。
しかし、これは、脳機能を扱う医者としてまったく間違いだと断言します。
家庭内暴力をなくすことと、受験で合格を勝ち取ることは、どちらか片方を選ばなければならない二者択一の問題ではないからです。
むしろ、現実はその正反対で、家庭内暴力をなくすことと、志望校に合格することは、同じゴールに向かうための表裏一体のことなのです。
ポイント!
受験生の家庭内暴力は脳機能のSOSサインなので、根本的な解決策は、脳機能が抱える問題を見つけ出し適切に治療することです。
また、こうし対処は、合格を勝ち取るために、不可欠なことでもあります。
脳機能についていえば、家庭内暴力をなくすことと、受験で合格を勝ち取ることは、どちらも根本的な原因は共通しており、メンタル医学的には本質は同じなのです。
だから、家庭内暴力を放置することこそが、合格を阻む元凶にもなるわけです。
家庭内暴力の治療こそが、合格への最短ルートだといえます。
ポイント!
受験生が家庭内暴力を行うようになった場合、当院で最も重視しているのは、受験に特化した光トポグラフィー検査です。
通常、メンタル面のトラブルについては、なんといっても大切なのは、問診を通して、じっくりとお話を伺うことです。
しかし、多くの場合、受験生ご本人にとっては、家族ではない医師に対して、自らの家庭内暴力の話を伝えるというのは、心理的に耐え難いことです。
このため、医師と受験生の間に深い信頼関係が築けるまでは、あえて家庭内暴力には触れず、受験の得点力アップに絞ってカウンセリングを行うというのが、私の方針です。
そもそも、「本郷赤門前クリニックに行ったら、お前の家庭内暴力が治るんだ!」などと親に言われて、受診しようと思うはずはありません。
まずは、試験の得点力アップを目的に、受験に特化した光トポグラフィー検査を受けていただくというのが、決定的に重要なのです。
この検査を受けていただければ、もちろん、試験の得点力アップを図ることもできますが、同時に、家庭内暴力をなくす脳医学的な方法も明らかになるのです。