答案に表れる「全か無か思考」に注意!

光文社新書「受験うつ」第3章より


・・・・さらに、「全か無か思考 (all or nothing thinking)」と呼ばれる独特の認知の歪みも、解答の偏りを助長する決定的に大きな要因です。

 

これは、物事に対して極端な完璧主義に陥ってしまうもので、受験うつの方には、ものすごく多く認められます。

 

 

特徴は「全 (all)」でなければ、「無 (nothing)」しかないと決めつけてしまうことです。

 

大問1が完答ではなくても、そこそこの時間で7割取れれば合格点に到達できるはずなのに、そうとは考えることができず、

「全 」でなければもうダメだと思ってしまいます。

 

逆に、大問2以降をそれぞれ2割でも3割でも点数を稼げば、ある程度の得点になるはずなのに、

「全 (all)」がダメなら「無」しかないと考えて白紙にしてしまいます。

 

 

人間は誰しも考え方に癖があるものですが、うつ病の場合は、それが過度に悲観的になり、融通が利かなくなってしまいます。

 

これがさらにうつを悪化させるため、認知療法では心理トレーニングによってこうした心理の悪い癖を治します。

 

その対象となる癖の一つが、「全か無か思考」なのです。

 

 

ただし、受験うつの場合は、一般のうつに比べて、「全か無か思考」が明らかに著しいという傾向があります。

 

特にC君 のように有名進学校に入学された方、東大や医学部を目指している受験エリートと呼ばれる人に特に顕著に見られます。

 

これは、「全か無か思考」が一方的に悪いものではなく、ある時点までは成績のアップに役立ってきたためです。

 

 

実際、C君 は公立の小学校から超一流進学校に入学した中学受験の勝ち組でしたが、

もともと「全か無か思考」を持っていたからこそ中学受験に合格できたともいえます。

 

公立の小学校で成績が学年で1番だったとしても、偏差値の高い中学に合格できるとは限りません。

 

常に満点を取り続けて、2番の同級生に圧倒的な差を付けないと納得しないという「全か無か思考」を持っていたからこそ、頑張り続けることができたのです。

 

「小学校で一番だから、まあいいや・・・」といった、ある意味、バランスの取れた考え方を持っていたら、

C君 は中堅の中学には合格できても、超一流進学校には合格できなかったでしょう。

 

「全か無か思考」がC君 の成長にとってプラスの原動力になっていた側面は確かにあったのです。

 

 

ところが、中学入学とともに状況は一変します。

 

公立の小学校では1番が当たり前だったC君 も、超一流進学校では努力をしても平均点前後の平凡な成績しか取れません。

 

普通に考えれば、C君 が入学した中学校ではクラスの平均点がとれていれば東大の合格圏に手が届くので、それでいいじゃないかということになるはずです。

 

ところが、「全か無か思考」に支配されているC君 の脳は、これを受け入れることができませんでした。

 

その結果、過大なストレスを受け続け、やがて受験うつの発症へと突き進んでしまったわけです。

 

 

このようなタイプは、ちょっとした工夫で劇的に成績が回復します。

 

具体的には・・・・

 

 

光文社新書「受験うつ」第3章より

 



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<目次>
第1章 増える受験うつ
第2章「受験うつ」のメカニズム
第3章 受験うつは答案用紙に表れる
第4章 間違いだらけの治療法
第5章 親のひと言が子どもを受験うつにする
第6章 うつにならない勉強法
第7章 親のコーチングで結果は出せる

 

<内容紹介>
未成年のうつ病、しかも、ストレスが増える受験期に突然発症する人が急増している。


子どもと大人では症状が大きく異なるため、親も受験生本人も発症に気が付かないケースが多いのが実情である。


中学受験ではもちろんのこと、高校受験や大学受験で頻発しており、受験生専門外来の私のクリニックにも、勉強が手につかなくなった多くの受験生が来院している。


受験期のうつで人生を狂わさないために、受験生本人が、家族ができることは何か?


また、脳機能から考えたストレス管理や効率の良い勉強法もまとめた、うつ病の有無を問わず受験を控えたすべての方に必見の書。

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