入試に落ちる危険な倦怠感(ダルさ)セルフチェック8項目 東京大学 本郷赤門前クリニック 吉田たかよし

入試に落ちる危険な倦怠感(ダルさ)

セルフチェック8項目


 

 ✓  「セルフチェック8項目」を掲載しています。勉強中の倦怠感(ダルさ)が単なる気の緩みなのか、それとも脳の不調なのかご自分で見極められます。

 

 ✓  倦怠感の原因が「慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome)」である場合は、放置していると重度の疲労感のため、受験勉強どころか試験会場にさえ行けなくなることもあります。

 

 ✓  勉強中の倦怠感だけが症状として現れる「新型の受験うつ(Novel Form of Exam-Related Depression)」が増加しており、こちらの可能性もあるので注意が必要です。

 

 ✓  最新の医学研究をもとに、学力アップの障害となる倦怠感を早期に解消し、志望校への合格を勝ち取るための方法を解説します。

 

 

東京大学本郷キャンパス赤門正面

本郷赤門前クリニック

 


倦怠感(ダルさ)に隠れている脳の怖い症状! 


「ダルいから、ボクは勉強しない!」などというと、親も先生も怒り出すでしょう。

 

勉強を怠けているからだと決めつけるからです。

 

 

でも、ちょっと待って下さい!

 

私は受験生を専門にケアする心療内科医として、警告します。

 

受験ストレスや受験うつが原因となって、身体や脳に倦怠感をもたらす場合がとても多いのです。

 

また、慢性疲労症候群という、とても危険な病気かもしれません。

 

 

倦怠感というと、心身の症状として認識してもらえますが、受験生のような若い世代では、「ダルい」

という言葉で表す人が大半です。

 

これが、怠けているという誤解を生み、慢性疲労症候群や受験うつの見落としにつながっているのです。

 

 

その結果、本来は学力が高いにもかかわらず、入試に失敗してしまう人が、毎年、後を絶ちません。

 

中には、長年にわたって浪人生活を強いられる場合もあり、それで人生を棒に振ってしまう人もいます。

 

ダルさ、つまり倦怠感は、受験生にとって、決して軽く見てはいけないものなのです。

 


倦怠感(ダルさ)の原因は、脳のSOSサイン!


適度なストレスであれば、脳は、むしろ活発に働くことができます。

 

しかし、乗り越えられる限界を超えてストレスが大きくなると、脳に深刻なダメージが加わってしまいます。

 

 

こうした状態を放置して受験勉強を続けると、脳機能がドンドン悪化し、やがて大うつ病性障害や気分変調性障害など、脳の病気に移行しかねません。

 

そこで、脳は自らを守るため、無意識のうちに、それ以上のストレスの増大を防止しようとします。

 

その手段が倦怠感を生み出すこと、つまり、「ダルくて勉強するのが嫌になる」という感覚を、脳の防御反応として作り上げるということでなのです。

 

 

倦怠感が生じれば、脳内の意欲の中枢が機能低下を起こすので、勉強をやめたくなります。

 

これが脳の仕組んだ本当の目的なのです。

 

こうして脳を休ませることで、さらなる受験ストレスの弊害を防止しようとしているわけです。

 

 

ですから、受験ストレスによる倦怠感は、単なるサボりとはまったく異なるものです。

 

いわば、脳からのSOSサインなのです。

 

決して見落としても放置してもいけません。

 


まずは、倦怠感(ダルさ)の原因をセルフチェック!


もちろん、ダルいと感じる原因が単なる勉強からの逃避 、つまり、勉強をサボりたいだけだという場合もあります。

 

この場合には、モチベーションなどメンタル面に関する対策が必要です。

 

 

また、睡眠不足や一時的な体調不良など、倦怠感の原因が脳の病的な症状とは異なる場合もあります。

 

もちろん、この場合は、脳のSOSサインとしての倦怠感のような緊急性はなく、医学的に必要となる対策も根本的に異なります。

 

 

ですから、脳疲労やストレスが招く危険な倦怠感(ダルさ)が出ているのか、それとも、さほど心配のいらない状態なのかを、しっかり見極める必要があります。

 

まずは、次の8つのセルフチェック項目うち、該当する項目はないか、ご自分で検討してみてください。

 


8項目のセルフチェックリスト


 

文献リストに示した研究論文をもとに、本郷赤門前クリニックと学習カウンセリング協会が共同で、受験生の倦怠感(ダルさ)に関して、8項目からなるセルフチェックリストを作成しました。

 

該当する項目はないか、ご自分で検討してみてください。

 

 

【倦怠感のセルフチェック項目】

 

 1.勉強中の倦怠感が2週間以上続いている。

 

 2.背中や肩が凝っている、あるいは頭痛がする。

 

 3.かすかな音も気になるようになった。

 

 4.興味や喜びなど、生き生きとした感情が生じなくなった

 

 5.食事が美味しく感じられなくなった。

 

 6.親から話しかけられると、それだけでイライラする。

 

 7.寝つきが悪い、中途覚醒が多い、朝起きるのがつらいなど、睡眠に問題を抱えている。

 

 8.演習問題を解いているときに、集中力や注意力の低下によってケアレスミスが増えた

 

 


2週間を超えれば脳のリスクが跳ね上がる!


8項目のチェックリストの中で、最も重要なのは、倦怠感(ダルさ)が2週間を超えて持続しているかどうかということです。

 

倦怠感をはじめ感覚的な心身の不調について、持続期間に関する研究は世界各地で行われていますが、おおむね、2週間を超えると医学上のリスクが高まるという結果で共通しています。

 

つまり、倦怠感が2週間以上にわたって持続するのかどうかは、対処や治療についての緊急性を知るうえで、とても重要だということです。

 

 

実際、以下でご説明するように、倦怠感が2週間以内なのか2週間を超えるのかで、原因となる心身の不調や病名が180度、異なってきます。

 

だからこそ、8項目のチェックリストの中で「勉強中の倦怠感が2週間以上続いている」という項目を筆頭に掲げたわけです。

 


2週間以内の倦怠感の原因とは?


 

倦怠感が2週間以内になくなれば、症例として多いのは以下です。

 

 

① 不安による精神の消耗

 

受験生の場合は、入学試験への不安が原因で、一時的に心因性の疲労感や倦怠感が引き起こされることがよく起こります。

 

単なる不安であっても、長く続けば脳の扁桃体という部分が過剰に刺激を受けるようになり、本格的な「受験うつ」を発症することが多いので油断はできません。

 

しかし、2週間以内に倦怠感がなくなった場合は、心配する必要はありません。

 

 

② 睡眠不足

 

十分な睡眠時間を確保できず、眠気だけでなく、疲労感が生じるということも、受験生ではよくあることです。

 

睡眠不足による倦怠感も、長期間にわたって持続すると、慢性疲労症候群に移行する場合がありますので、単なる寝不足だと甘く見てはいけません。

 

ただし、適切な睡眠時間を確保することで、2週間以内に倦怠感がなくなれば、問題はありません。

 

 

③ 受験勉強や試験による過労

 

受験生は、自宅での受験勉強に加え、塾や予備校の授業、模擬テストなど、多忙なスケジュールが原因で、一時的に過労によって倦怠感が引き起こされることがよく起こります。

 

原因が過労であっても、やじゃり長く続けば「受験うつ」を発症することが多いので、放置してはいけません。

 

ただし、この場合も、2週間以内に倦怠感がなくなった場合は、それで結構です。

 

 


誰でも今すぐ簡単にできる倦怠感の対処法!


ここでは、誰でも今すく簡単にできる、勉強中に感じる倦怠感の対処法をご紹介しましょう。

 

真っ先にやっていただきたいのは、 椅子に座り込まず、立ち上がるということです。

 

「疲れを感じるときは、座り込んだほうが、回復するに決まっている・・・」

あなたは、そう、思い込んでいませんか?

 

実は、この思い込みが大間違い!

座り込むことが、ダルさを生み出す大きな要因になっているのです。

 

 

疲れたときは、座って休めば回復するというのは、運動した後など、筋肉の疲労の対策としては正しいことです。

しかし、受験勉強によって生じるダルさは、筋肉の疲労が原因ではなく、精神的な疲労による倦怠感です。

本人が感じる疲れた感覚はよく似ていますが、脳内で生じている現象はまったく異なり、こちらは座り込むことによって、悪化してしまうのです。

 

 

実際、倦怠感が脳の一時的な疲労が原因であった場合は、立ち上がったことによってダルさは著しく 軽減される場合が多いのです。

特にストレス性の倦怠感の場合は 、立ち上がることによって、脳内にある脳幹網様体という部分が刺激を受け、それによって一時的ではありますが ストレスが緩和されるのです。

その結果、倦怠感は おさまってきます 。

 

 

これはあくまでも一時的な反応に過ぎないのですが、勉強中に頻繁に立ち上がる 生活習慣を続けていると、 ストレス性の倦怠感自体がやがて生まれにくくなります。

ですから、勉強中に 倦怠感を感じた 迷わず立ち上がるということが、 対策としてとても重要なのです。

 

倦怠感が2週間を超えた場合は?


倦怠感が2週間を超えて長期化している場合は、以下のように、危険な病気である可能性があるので、医療機関で診断を受けたうえで、それぞれの病気にあわせて適切な対処をしてください。

 

① 慢性疲労症候群(ME/CFS)

 

 

② 受験うつ

 

 


受験生の慢性疲労症候群

Chronic Fatigue Syndrome


慢性疲労症候群(Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome, ME/CFS)は、長期間にわたって持続する極度の疲労感や倦怠感を特徴とする疾患です。

 

受験生もこの病気に罹ることがあり、その影響は試験勉強や学校生活に大きな影響を与える可能性があります。

 

 

慢性疲労症候群(ME/CFS)の疲労感は非常に強く、休息や睡眠によっても改善されず、身体活動や認知的な活動によって悪化することがあります。

 

これに加えて、筋肉痛、関節痛、頭痛、リンパ節の腫れ、喉の痛みなどの身体的な不快感が現れることもあります。

 

このため、放置していると重度の疲労感のため、受験勉強どころか試験会場にさえ行けなくなることもあります。

 

 

また、注意力や集中力の低下、記憶力の障害、情報処理の遅れなどの認知的な問題も見られるため、成績が低下するのが必至です。

 

また、睡眠障害や免疫系の異常も、一部に見られる特徴です。

 

 

慢性疲労症候群の具体的な原因は、まだ明確には解明されていませんが、免疫系の異常や神経系の異常が関与していると考えられています。

 

また、感染症や身体的・精神的なストレス、化学物質の曝露などの環境要因も発症や症状の影響を与える可能性があります。

 

特に最近の研究で、頭に霧がかかったようになる「ブレインフォグ」との関係が明らかになってきました。

 

ブレインフォグは、新型コロナの後遺症としてメディアに取り上げられることが多いのですが、医学的にはコロナに感染していなくても発症することが実証されており、コロナの感染歴がないから自分には関係ないといった決めつけはしてはいけません。

 

ブレインフォグについては、「受験生のブレインフォグ(Brain Fog in Exam Students)」のページで詳しく解説しています。

 

こちらも併せてご一読ください。

 

 

 


倦怠感だけが現れる新型の受験うつ

Novel Form of Exam-Related Depression


慢性疲労症候群は、とても強い倦怠感がいつまでも続くため、決して甘く見てはいけない病気ですが、受験生が倦怠感に苦しむ場合、これよりもはるかに多いのが「受験うつ」です。

 

受験うつは、一般的には気分の落ち込みや無気力など、様々な症状を伴う心の病気です。

 

しかし、倦怠感だけが現れるケースも存在し、とりわけ受験うつの初期段階では多いのです。

 

受験生が長期にわたって倦怠感を抱える場合、それは単なる疲労やストレスの反応を超えて、受験うつの初期段階である可能性があるということを、頭に入れておいていただきたいです。

 

 

特に問題なのは、倦怠感だけが現れる受験うつの場合、他の症状が見られないために見過ごされがちであることです。

 

さらに、やがてモチベーションや集中力の低下、記憶力や思考力の悪化が生じるようになり、受験生の学習成果や入試の結果にも深刻な悪影響を及ぼようになります。

 

 

倦怠感が前面に現れる受験うつには、以下のような特徴があります。

 

 

受験生活は試験勉強や入試への不安、競争の激しさなど、長期間にわたるストレスとプレッシャーが伴うものですが、これによって受験生の心身は緊張し、倦怠感が生じる直接のきっかけになることが多いのです。

 

また、受験生は将来への期待や自己評価の高さ、結果への恐れなど、心理的な負担に直面していますが、これらの要素が倦怠感を引き起こすのも、倦怠感が前面に現れる受験うつの特徴です。

 

さらに、受験勉強の過密スケジュールや夜更かし、不規則な生活リズムが睡眠不足を引き起こし、倦怠感を中心とした受験うつを引き起こす要因となります。

 

思い当たる方は、「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」のページも必ずご一読ください。

 


倦怠感が重い場合は専門の検査と治療で合格をつかもう!


倦怠感の原因が「受験うつ」であった場合は、とにかく早く治療を開始しないと、合格は勝ち取れず、下手をすると一生を台無しにしてしまいます。

 

これに対し私のクリニックでは、最新の磁気刺激治療を組み合わせた「受験うつ早期合格コース」を設け、全国でも屈指の良好な合格実績を誇っています。

 

あこがれの志望校への合格を勝ち取るため、ぜひ、ご検討ください。

 


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 【2018年】 本郷赤門前クリニックの実績  🌸東京大学、理科Ⅰ類(2人)、理科Ⅱ類、文科Ⅰ類、文科Ⅲ類、合格!!🌸京都大学、理学部、工学部、合格!🌸🌸🌸 🌸早稲田大学、基幹理工学部、商学部、合格!🌸🌸🌸 🌸慶応大学、理工学部、総合政策学部、合格!🌸🌸🌸 🌸医学部、東京都内、近畿地方など多数、合格!🌸🌸🌸 その他、歯学部、薬学部、マーチ、日東駒専、短大に多数、合格!

参照した研究論文のリスト

 

① Tham, S., Holley, A., Zhou, C., Clarke, G., & Palermo, T. (2013). Longitudinal course and risk factors for fatigue in adolescents: the mediating role of sleep disturbances.. Journal of pediatric psychology.

 

② Rimes, K., Goodman, R., Hotopf, M., Wessely, S., Meltzer, H., & Chalder, T. (2007). Incidence, Prognosis, and Risk Factors for Fatigue and Chronic Fatigue Syndrome in Adolescents: A Prospective Community Study. Pediatrics.

 

③ Wolbeek, M., Doornen, L., Kavelaars, A., & Heijnen, C. (2008). Predictors of Persistent and New-onset Fatigue in Adolescent Girls. Pediatrics.

 

④ Mears, C., Taylor, R., Jordan, K., & Binns, H. (2004). Sociodemographic and symptom correlates of fatigue in an adolescent primary care sample.. The Journal of adolescent health : official publication of the Society for Adolescent Medicine.

 

⑤ Lamers, F., Hickie, I., & Merikangas, K. (2013). Prevalence and correlates of prolonged fatigue in a U.S. sample of adolescents.. The American journal of psychiatry.

 

⑥ Nagane, M. (2004). Relationship of Subjective Chronic Fatigue to Academic Performance. Psychological Reports.

 

⑦ Nijhof, S., Maijer, K., Bleijenberg, G., Uiterwaal, C., Kimpen, J., & Putte, E. (2011). Adolescent Chronic Fatigue Syndrome: Prevalence, Incidence, and Morbidity. Pediatrics.

 

⑧ Chiang, Y., Hinds, P., Yeh, C., Yang, C., & Srivastava, D. (2008). Reliability and Validity of the Chinese Version of the Fatigue Scale-Adolescent. Cancer Nursing.

 

⑨ Asarnow, J., Jaycox, L., Duan, N., Laborde, A., Rea, M., Tang, L., Anderson, M., Murray, P., Landon, C., Tang, B., Huizar, D., & Wells, K. (2005). Depression and role impairment among adolescents in primary care clinics.. The Journal of adolescent health : official publication of the Society for Adolescent Medicine.

 

⑩ Parker, G., & Roy, K. (2001). Adolescent Depression: A Review. Australian and New Zealand Journal of Psychiatry.

 

⑪ Shivaswamy, V., Nagendra, K., Sanjay, D., Gouli, C., & Nk, K. (2012). PREVALENCE AND ASSOCIATION OF DEPRESSION AND SUICIDAL TENDENCY AMONG ADOLESCENT STUDENTS. International Journal of Biomedical and Advance Research.