セカンドハンドストレスが受験生の合格を阻む?
Secondhand Stress
親のストレスが成績に与える悪影響と合格へのメンタル対策
✓ 親のストレスが受験生の子どもに伝染し、受験に失敗してしまうケースが増加しています。ストレスが周囲の人に伝染する現象は「セカンドハンドストレス(Secondhand Stress)」と呼ばれ、受験生の親子では特に生じやすいので注意が必要です。
✓ セカンドハンドストレスは視覚を通して伝染しやすいので、受験生の親は自分のストレスが表情に表れないように心がけましょう。話し言葉の口調でもセカンドハンドストレスが生じるため、受験生の子どもには、穏やかな口調で話すことが求められます。
✓ 親子間のセカンドハンドストレスによって、「親子同時受験うつ」を発症しているケースも増加しています。この場合は、とりわけ成績の急落を起こしやすい一方で、きちんと対策をとれば成績が急回復しやすく、入試合格実績も高いので、まずは「親子同時受験うつ」であることに気づくことが重要です。
✓ セカンドハンドストレスは脳にどのような影響をもたらすのか?克服して志望校への合格をつかみ取るにはどうしたらいいのか?わかりやすく解説します。
東京大学本郷キャンパス赤門正面
本郷赤門前クリニック
セカンドハンドストレス(Secondhand Stress)
志望校への合格を勝ち取るために、受験生の親御様に、今すぐチェックしていただきたいことがあります。
それは、親子の間でストレスによるメンタルの危険な連鎖反応が起きていないかということです。
脳医学の研究によって、ストレスを抱えている人が視野に入っただけで、見ている人の脳でもストレスが高まるという現象が見つかりました。
この現象は、医学では「セカンドハンドストレス(Secondhand Stress)」と呼ばれています。
さらに、親子については、互いの脳にセカンドハンドストレスの影響をとりわけ強く生じることも明らかになっています。
このため、ご家庭の中では、「セカンドハンドストレス」の連鎖が親子の間で生じ、これが受験生のメンタル面のトラブルに直結してしてしまうケースが多いのです。
その結果、学力があるにもかかわらず、入試に失敗してしまう受験生が後を絶ちません。
志望校への合格を阻む「セカンドハンドストレス」の連鎖は、どのように断ち切ればいいのか?
受験生の親御様は、具体的には、どのようなことに気を配るべきなのか?
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と知識をもとに、わかりやすく解説します。
家庭の中で、受験生のメンタルが悪化していく要因として指摘されているのが、メンタル医学で「セカンドハンドストレス」と呼ばれる現象です。
「セカンドハンドストレス」とは、ストレスを抱えている人が視野に入っただけで、見ている人も連動してストレスが高まるという現象です。
実際、ストレスを抱えている人を見ると、それだけで、見ている側でも、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが26%もアップしたというデータも、論文として報告されています。
この現象自体は、まったく無関係な赤の他人でも生じます。
しかし、見られる側の人と見る側の人の関係がより深いほど、「セカンドハンドストレス」もより大きく作用することが実験データとして証明されています。
中でも特に効果が大きいのが、家族間の「セカンドハンドストレス」です。
受験生を専門に診療している私の心療内科クリニックでは、親子カウンセリングを積極的に行っています。
その中で、家庭の中で「セカンドハンドストレス」が、親から子へ、子から親へと、両方の方向で伝播し、これがスパイラル反応を起こして、どんどん悪化していくというケースが数多く見受けられます。
もちろん、受験生の脳の働きは過大なストレスによって大幅に低下してしまいます。
このため、入試に落ちてしまう深刻な要因となっているわけです。
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では、そもそもどうして「セカンドハンドストレス」という現象が生じるのでしょうか?
これには、人類が生き残るために役立った生きる知恵が隠されていたのです。
現代人にとってストレスは、病気の原因となるなど、何かと良くないものだというイメージがつきまとっています。
ですが、本来は危険が迫ってきた時に緊張感を高め、それに対処する適切な行動を促すことが本来の目的なのです。
人類は、哺乳類の中で体力的には非常に弱い動物です。
そこで仲間同士が集団を作り、共に力を合わせて危険に対処することで、大自然の中で生き残ることができました。
人間の集団の中の一部の人が危機を感じてストレスを高めた場合に、それが集団の中に広がって、みんなで危険が迫っているという認識を共有したほうが危機に対処できる能力は確実に高まります。
「セカンドハンドストレス」は、そのために人間の脳の中で発達してきた仕組みだと考えられています。
セカンドハンドストレスを生み出す脳内のメカニズムに関する研究も進んでいます。
脳の中でおでこのあたりにある前頭葉の大脳新皮質に、「ミラーニューロン(Mirror neuron)」が見つかりました。
ミラーとは鏡、ニューロンとは神経細胞なので、直訳すると「鏡神経細胞」となります。
その名の通り、ミラーニューロンは、目の前の人の感情などの脳の活動を鏡で写し取るように、自分の脳内でも再現する作用を持っているのです。
これによって相手の感情を読み取ることで、人間は他人と心の絆を構築することができるようになりました。
人間が自分一人の欲望だけに突き動かされるのではなく、仲間と協力関係を築けるようになったのは、まさしくミラーニューロンのおかげです。
もちろん、親子の絆が結ばれるのも、ミラーニューロンの作用も大きく寄与しています。
セカンドハンドストレスは、本来、仲間と危機意識を共有して互いに助け合いながら危機を乗り越えるためのものですが、やはりミラーニューロンの作用で生じることとなったのです。
特に経験が乏しい子どもについては、危機を察知する能力が低く、「セカンドハンドストレス」によって親から危機感を受け継ぐことは、命を守るうえでとりわけ重要なことでした。
このため、お互いのミラーニューロンが特に活発に作用する性質があり、これにより、親子間のセカンドハンドストレスは、より大きな効果になるわけす。
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セカンドハンドストレスは、肉食動物からの攻撃から集団て身を守るといった一時的な危機への対処としては、とてもよく出来た仕組みでした。
ところが、文明社会に生きる現代人にとっては、役立たない状況が増えてきました。
うまく作用しないどころか、深刻な悪影響をもたらす場合も多く、その最たるものが受験です。
受験については、ストレスが長期間にわたって持続するのが一般的です。
一時的な問題に対して危機感を共有するためには役立っていたわけですが、長期的で継続的な問題に対してセカンドハンドストレスを繰り返すことは、とても危険な副作用があったのです。
受験生は、長時間の勉強と落ちるかもしれないという恐怖心に蝕まれる形でストレスを感じます。
それが、表情や仕草、声の様子などを通して親御様に伝わり、セカンドハンドストレスが形成されるわけです。
ただし、そもそも親は、現代社会で生活を営む中で、すでにストレスを感じていて、それに追加するで形で子供からセカンドハンドストレスを抱え込むことになります。
その結果、親のメンタルの許容範囲を超えてしまうことが多いのです。
そうすると、今度は親のストレスが、表情や仕草、声の様子などを通して子どもに伝わり、子どもの脳の方でもセカンドハンドストレスが形成されます。
これが、もともと子どもが持っていた受験ストレスに追加されてしまうのです。
こうして子から親へ、親から子へという形で、まるでピンポンのように、セカンドハンドストレスが行ったり来たりするわけです。
ただし、本物のピンポンはボールを打ったら向こうに行くだけですが、セカンドハンドストレスは、向こうに悪影響を与えても、自分自身にもストレス自体は残ったままです。
だから、親子の間でセカンドハンドストレスがどんどん蓄積していくという悪循環に陥るわけです。
これが一定限度を超えると、「親子同時受験うつ」といった悲劇をもたらすことになるのです。
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セカンドハンドストレスは、受験生がなくすというよりも、親子様になくす努力をしていただきたいです。
受験生は、目の前の受験勉強を着実に行い、志望校への合格を手繰り寄せるということが、最大のミッションです。
それに加えて、家庭の中のメンタル対策まで行うというのは酷な話で、逆にメンタル面への過重な負担となりかねません。
是非、セカンドハンドストレスの対策については、親御様の方でやっていただきたいのです。
親御様にまず行っていただきたいのは、鏡てご自分の表情をよく見るということです。
多くの受験生のご家庭では、親御様の表情はとても厳しい雰囲気となっています。
そんな親の表情をお子さんが見て、セカンドハンドストレスという形で悪影響を及ぼす一つの要因となっているのです。
その対策として、親御様には、是非、笑顔の練習をしていただきたいです。
柔らかい表情でお子さんに接していただければ、お子さんの受験ストレスをほんの少しでも緩和することができます。
次に、家庭の中の雰囲気にも気を配っていただきたいです。
親子で受験ストレスを感じていると、心にゆとりがなくなり、部屋の中も心のゆとりを感じさせてくれるものが減ってきます。
人間は無味乾燥とした環境の中ではストレスが高まりやすくなることが分かっています。
ちょっとした花を飾ってみるとか、観葉植物を飾ってみるとか、家庭の中のストレスが緩和されるように工夫してみてください。
Parent-Child Codependency
本来は地頭がよくて合格できるはずの受験生が、セカンドハンドストレスが暴走した結果、不合格になるのは、とても残念なことです。
セカンドハンドストレスが暴走する原因の一つが、「親子共依存(Parent-Child Codependency)」です。
親子共依存とは、親子が互いに相手に精神的に依存することで、メンタルのバランスを失っていくという現象です。
親子がともにストレスを受ける場合に多く生じるため、受験生の親子は、とりわけ注意が必要です。
以前は、子どもが親の言いなりになり、親は言いなりになってくれることで精神の安定を保とうとするタイプの親子共依存が主流でした。
しかし、最近の受験生の親子では、その正反対で、子どもが親にわがままを言い、親はそれに従うというタイプの親子共依存が増加しています。
これが、「新型の親子共依存」です。
これを放置していると、子どものわがままが増悪し、やがて親へ暴言を吐くようになり、最悪の場合は親に暴力をふるうことになります。
詳しくは、「親子共依存が受験失敗の原因?子どものワガママに注意!志望校合格のための心理戦略とは?」のページで解説していますので、ご参照ください。
「親子同時受験うつ」に注意!
セカンドハンドストレスに関して、受験生の親子に特に注意していただきたいのが、「親子同時受験うつ」です。
近年、「受験生うつ」が急速に増加していますが、実は受験生だけでなく、親もうつ症状になっている場合が多いのです。
これが、「親子同時受験うつ」です。
受験うつの最大の原因は、落ちるかもしれないという不安からストレスが高まり、受験生の脳をむしばむことにあります。
受験に失敗するかもしれないという不安は、受験生だけのものではなく、親御様も同じです。
だから、そもそも、親も「受験うつ」のハイリスク群に当たるわけです。
さらに、ここまでご説明してきたように、セカンドハンドストレスの作用で、親子同時にストレスのスパイラルに陥ることが多いのです。
その結果、親子が同時にうつ症状になる、「親子同時受験うつ」に陥ってしまうわけです。
ただし、「親子同時受験うつ」の場合は、単にうつ症状で成績が悪化しているだけなので、きちんと治療すれば、成績の回復は著しく、入試に間に合わせれば、志望校への合格はきっちり確保できるケースが多いです。
実際、本郷赤門前クリニックの早期合格コースでも、「親子同時受験うつ」の場合は合格実績が高く、東大に合格されたケースも少なくありません。
大事なのは、「親子同時受験うつ」に気づき、適切な対策を打つということです。
親子同時受験うつを見極めるために、ぜひとも受けていただきたいのが、受験に特化した光トポグラフィー検査です。
脳の状態を可視化することで、脳で何が起きているからうつ症状が生じているのか、科学的に突き止めることができます。
さらに、成績を改善させる脳医学的な方法も明らかになるので、受験生が志望校合格を実現するには、とても役立つ検査です。
受験に特化した光トポグラフィー検査については、こちらのページをご参照ください。
受験に特化した光トポグラフィー検査の結果、「受験うつ」「受験無気力症候群」「受験燃え尽き症候群」などが見つかった場合は、磁気のパルスで脳の働きを高める「磁気刺激治療」をはじめとした最新脳医学治療を行うと、脳内の扁桃体と呼ばれる部分の暴走を抑えることで、学力を早期に回復さえることが可能です。
さらに、最新脳医学治療の作用で、思考力を働かせるのに不可欠な脳内のワーキングメモリーという機能が高まるため、試験を受けた時の得点能力をアップさせることができます。
実際、弊院の「最新脳医学治療(受験うつ)早期合格コース」では、メンタル面の不調に苦しむ多くの受験生が入試で素晴らしい結果を残してくれています。
メンタル面でデリケートな受験生の方は、ぜひ、万全の準備をして入試に臨んでください。
「最新脳医学治療(受験うつ)早期合格コース」については、以下のフォームからお気軽にご案内を請求していただきたいと思います。
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