磁気刺激は、脳に磁気のパルスを当てることで行われます。
高校で物理を習った人なら、
「ファラデーの電磁誘導」
を覚えているかもしれません。
磁場が変動すると、垂直方向に電場が生じるという現象です。
脳は神経細胞が電気的な刺激を伝え合うことで機能するものなので、これにより機能が活発になるわけです。
まず、左のグラフから説明しましょう。
グラフの下に、
1Hz、5Hz、20Hz
と書かれていますが、これは1秒間に磁気刺激を何度与えたかということを意味しています。
1秒間に1回なら1Hz、1秒間に5回なら5Hzということです。
グラフの左上に書かれている「Active」とは、実際に脳に磁気刺激をしことを意味します。
一方「Sham」とは「擬似の」という意味で、被験者に対して磁気刺激をしているふりをしており、実際には脳には磁気のパルスは当てられていません。
単なる気分の問題で脳機能が高まることも多いので、本当に磁気刺激の効果であることを証明するには、「Active」と「Sham」を比較する必要があるわけです。
被験者にはワーキングメモリを使うテストを受けていただき、どのくらいの時間でできるか、
速さを測定しました。
もちろん、速くできた場合はワーキングメモリの機能が高く、時間がかかった場合は、
ワーキングメモリの機能が低下しているということです。
グラフを見ると、1Hzと20Hzについては、「Active」と「Sham」は、ほとんど同水準です。
つまり、磁気刺激の効果は出なかったということです。