光文社新書「受験うつ」第5章より
・・・・褒めさえすれば、子どもが健全に育つというのは、大きな勘違いです。
それどころか、子どもの将来を奪ってしまう、とっても危険な行為です。
子どもを褒めて育てるということが子育てのちょっとしたブームになっています。
実際、偏差値の高い学校に合格させようとしている教育熱心な家庭では、褒めて育てる教育を実践している親が多く、なかには、褒めれば褒めるほど子どもの成績は良くなるものだと信じ込んでいる人もいます。
私は、受験うつを扱う心療内科の医者として、こうした風潮に警鐘を鳴らしたいと思います。
褒めて育てるやり方の間違いが、現在、受験うつを激増させている大きな要因となっていることを臨床の現場でまざまざと見せつけられているからです。
中には、頭のいいお子さんなのに、親に過剰に褒められたがために、一生を台無しにしてしまった方もいます。
特に、新型うつと呼ばれるタイプのうつ病については、両親による間違った褒め方が原因となっている場合が少なくありません。
物心ついたときから、特に母親がことさら大げさに褒めることによって、子どもは自己愛を膨らませ、結果として成長してから新型うつを発症してしまうというケースは、私のクリニックだけでもかなりの症例数に上ります。
誤解してほしくないのですが、褒めることが全てよくないと主張しているわけではありません。
大事なのは褒め方の良し悪しなのです。
正しい褒め方は子どもを素晴らしい人材に育て、間違った褒め方は子どもを受験うつにする……。
その差がどうして生じるのか、ぜひご理解していただきたいと思います。
正しい褒め方とは、どんなものか?
間違った褒め方とは何か?
その区別を明確に示した研究が米国で行われ、発表された論文は世界的な評価を受けています。
これらの研究成果を元に、正しい褒め方の具体的にやり方を解説していきましょう。
光文社新書「受験うつ」第5章より
「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」
光文社新書
紀伊國屋本店 ベストセラー達成!
新書販売ランキング1位
<目次>
第1章 増える受験うつ
第2章「受験うつ」のメカニズム
第3章
受験うつは答案用紙に表れる
第4章 間違いだらけの治療法
第5章
親のひと言が子どもを受験うつにする
第6章 うつにならない勉強法
第7章 親のコーチングで結果は出せる
<内容紹介>
未成年のうつ病、しかも、ストレスが増える受験期に突然発症する人が急増している。
子どもと大人では症状が大きく異なるため、親も受験生本人も発症に気が付かないケースが多いのが実情である。
中学受験ではもちろんのこと、高校受験や大学受験で頻発しており、受験生専門外来の私のクリニックにも、勉強が手につかなくなった多くの受験生が来院している。
受験期のうつで人生を狂わさないために、受験生本人が、家族ができることは何か?
また、脳機能から考えたストレス管理や効率の良い勉強法もまとめた、うつ病の有無を問わず受験を控えたすべての方に必見の書。