【このページの要点!】
①睡眠薬は、大脳全体の活動を低下させるタイプと、自然な眠りを強めるタイプと2種類がある。
②大脳全体の活動を低下させる睡眠薬は、海馬の活動を抑制し、記憶力を低下させる。
③自然な眠りを強めるメラトニン受容体作動薬は、翌日の受験勉強を妨げ、特に数学や英語の学習に悪影響を与える。
④睡眠薬は医学的には「姑息療法」と呼ばれ、受験生の脳の問題を根本的に解決することはできない。
⑤睡眠のトラブルを抱えた受験生は、脳の抱える問題点を可視化する検査を受けることが合格につながる。
いろんな睡眠薬がありますが、大きく分けると2種類なんですね。
1つ目は、脳の活動を低下させて、ボーっとしてくることで、眠くなるもの。
現在はこちらが主流で、このタイプを服用している人が圧倒的に多い。
具体的にはベンゾジアゼピン系と非ベンゾ系がありますね。
自然な眠気を強くする睡眠薬ですね。
こちらは、脳の中で睡眠に関する部分だけにピンポイントで効いてくれます。
ただ、まだ使用する人は少ないんですが、
具体的には、メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬があるんです。
脳にとって、どっちの睡眠薬が、より問題があると思いますか?
どう考えても、脳の活動を抑えるタイプが問題だと思いますでしょ。
でも、こちらが主に使われているのが現状です。
脳の活動全体を低下させる睡眠薬は、体内でやっていることは、ただひとつ。
神経細胞の中にマイナスイオンを放り込むことだけなんですね。
神経細胞は電気的にプラスになると活性化するが、マイナスイオンだらけだと、活性化しない。
だから、眠くなるんですね。
でも、脳の他の機能も妨げてしまう。
実際、記憶力にも悪影響が出ます。
記憶を作り出す海馬の神経細胞も、マイナスイオンが送り込まれるから、記憶力が低下するのは、医学的には当たり前のことです。
受験生の場合は、これって、致命的ですよね。
あと、姿勢を保つこともできなくなって、ふらついて転ぶ場合もありますね。
そういう問題点を解決するために、自然な眠りを起こす睡眠薬が開発されたわけです。
でも、何故、それほど使われていないのかというと、効果が弱い。
脳を一網打尽におとなしくさせるのは簡単でも、ピンポイントで効果を出すのは難しい。
それから、効果が出るまでに日数がかかり、しかも効果に個人差も大きい。
正直に言って、医者としては、処方するのに、ちょっとためらうことがありますね。
患者さんに、「ヤブ医者だ」と思われないかなと、心配しちゃう。
患者さんの方から、自然な眠りになる薬を試してみたいと言ってもらったら、いいと思いますね。
そうとも言えないんですよ。
たとえば、メラトニン受容体作動薬は、寝ている途中や早朝で目が覚める人には、
大きな副作用もないし、長期に服用できる優れた睡眠薬ですね。
だから、中高年の人は、もっと積極的に使ったらいいですね。
こういうタイプの睡眠障害の方は、依存性の高いベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使っている人が多いんですが、メラトニン受容体作動薬のほうがはるかにいいと思います。
でも、受験生のような若い世代では、このタイプの睡眠障害って、すごく少ないんですね。
しかも、メラトニン受容体作動薬を服用すると、翌日の勉強に悪影響が出てしまいます。
じっくり考えないと解けない数学の難問なんて、もう、サッパリ。
あと、英語や国語の長文も読めなくなってしまいます。
受験生の場合、そもそも、睡眠薬で対処するというのが大問題です。
睡眠薬って、根本的に治す「根治療法」ではないんです。
医学的には、「姑息療法」なんです。
姑息といっても、国語でも、ずるいという意味ではないですよ。
姑息っていうのは、一時的、その場しのぎというのが正しい意味です。
そもそも、睡眠薬は脳に負担をかけてしまうから、受験には望ましくないですね。
さらに、姑息療法で、根本的な脳の問題にフタをしてしまうことになる。
二重に問題ですね。
合格のためには、脳の抱える問題を、本質の部分から治す必要がある。
そのためにも、脳機能に特化した光トポグラフィー検査を受けていただきたいですね。