✓ わが子の受験ストレス(Exam stress)を親御様に10項目のチェックポイントで判定していいただきます!
✓ デューク大学(Duke University)の研究手法をもとに、クリニックでの症例と学習塾・予備校のデータをもとにリスト化したものです。
✓ 親が声をかけると「うるさい!」「ほっといてくれ!」と怒鳴るようになるのも「受験うつ」の重大な兆候です。見逃してはいけません。
✓ 受験ストレスが高まると、脳内で「寛容低下」と呼ばれる現象が起き、通常なら気にならない些細なことについてもイライラし始めます。これが限界を超えると「受験うつ」を発症します。
✓ 子どものワガママなのか、メンタル面や脳機能の問題なのかを区別することが重要です。これを見極めるための指針を解説しています。
東京大学本郷キャンパス赤門正面
本郷赤門前クリニック
受験ストレスの放置で不合格へ・・・
親が声をかけると「うるさい!」「ほっといてくれ!」と怒鳴る・・・。
優しかった子が、突然、家庭内で暴れるようになる・・・。
これらは、受験期のうつ症状「受験うつ」や、受験ストレスによる高次脳機能障害による典型的な兆候です。
単なる気分の問題だと放置してはいけません。
入試の本番が近づけば近づくほど、受験ストレスは悪化するものです。
放っておいて勝手に治るということは、まず、ありえません。
通常は逆に悪化の一途をたどり、入試の当日に症状がマックスになるのが一般的です。
ですから、できる限り早い段階で脳のコンディションを回復させておくことが必要です。
そうでない限り、志望校への合格は困難でしょう。
症状によっては、受験に特化したCBT治療など、メンタル面や脳機能の専門的な治療が必要になる場合もあります。
まずは、以下に掲載している10項目の「受験ストレス」チェックリストを利用して、現状を正しく把握してください!
気づいてあげられるのは親だけ!
合格を勝ち取るためには、脳機能の不調や受験うつの兆候を見逃してはいけません。
しかし、心のバランスを崩した受験生本人が、自分で自分の異変に気づくというのは、かなり困難です。
なぜなら、受験ストレスに蝕まれた脳は、ものごとを客観的に認識することができなくなっているのです。
ただイライラしたり、不満をぶちまけるだけで、冷静に自分の精神状態を内省することなど不可能です。
では、誰が気づいてあげるとよいのか?
それは、現実的には親御様だけなのです。
もちろん、クリニックにご来院いただければ、専門的な検査や医師による問診によって、かなり正確に診断が可能です。
でも、そのためには、親御様が受験生に来院をおすすめしたいただく必要があります。
そのためのキッカケになればと考え、以下の10項目の「受験ストレス」チェックリストを公開することにしました。
「受験ストレス」チェックリストとは?
弊院院長がエグゼクティブフェローを務める日本メンタルヘルス研究センターでは、米国デューク大学などの研究業績を元に、「受験うつ」や「受験によるストレス性高次脳機能障害」の兆候をご自分で把握できるチェックリストを開発しました。
デューク大学では、一般的な大人の症状についてチェックリストを作成しましたが、同じ手法を用いて、クリニックでの症例と、ご協力いただいた学習塾・予備校でのデータをもとに、10項目のリスト化と、その判断基準を策定しました。
もちろん、専門の医師による問診には遠く及びませんが、受験生の脳が発するSOSサインに気づくという目的には、十分に役立つものだと考えています。
さっそく、以下のリストに従って、わが子に当てはまる項目がないか、親御様がチェックしてあげてください!
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「受験ストレス」チェックリスト(10項目)
【判定の注意点】
お子様のメンタル面を親御様にチェックしていただくにあたり、大事な注意点があります。
以下の10項目の中に、「・・・になった」、あるいは「変わってしまった気がする」というチェック項目があります。
この場合は、受験勉強を始める以前の様子と比較して判定してください。
詳しくは、チェック項目のあとの、「ワガママとメンタル面の不調の違い」「精神面と教育面の見分け方」ところで解説しています。
こちらも、ご確認ください。
【チェック項目 1 】
・勉強のヤル気が一気になくなり、スマホばかり見ているようになった!
【チェック項目 2】
・親が声をかけると「うるさい!」「ほっといてくれ!」と怒鳴るようになった!
【チェック項目 3】
・優しかったわが子が、家庭内で暴れるようになった!
【チェック項目 4】
・模擬テストの成績が急激に悪くなってしまった!
【チェック項目 5】
・かすかな音も気になってイライラするようになった!
【チェック項目 6】
・朝、なかなか起きなくなり、親が起こそうとすると怒り出す!
【チェック項目 7】
・学校や塾に行こうとすると、腹痛・頭痛・息苦しさ・めまい・吐き気がする。
【チェック項目 8】
・親がささいな過失をしただけなのに、子どもが執拗に責め立てるようになった!
【チェック項目 9】
・風邪をひきやすく、症状がダラダラと続いて、なかなか治らない!
【チェック項目 10】
・笑顔を見せなくなり、目つきが変わってしまった気がする!
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ワガママとメンタル面の不調の違いとは?
こんなの、子どものワガママじゃないのか・・・?
以上の10項目の中で、そうお感じになった項目が、いくつかあるはずです。
たとえば、親が声をかけると、子どもが「うるさい」と怒鳴る場合。
もちろん、尊大でワガママに育ってしまったら、精神面に問題がなくても、お子さんは「うるさい」と怒鳴ることがあるでしょう。
この場合は、教育の問題であって、精神状態の問題ではありません。
しかし、本来は優しいお子さんなのに、メンタル面と脳機能の不調から、怒鳴り散らすということも、よく見られる現象です。
この場合に、ワガママだと決めつけてしまったら、大事な精神面の異変を見逃してしまうことになります。
受験ストレスで生じる「寛容低下」とは?
上記の10項目のチェックポイントの中で、以下の4つの項目にに共通しているのが「寛容低下」と呼ばれる現象です。
【チェック項目 2】
・親が声をかけると「うるさい!」「ほっといてくれ!」と怒鳴るようになった!
【チェック項目 3】
・優しかったわが子が、家庭内で暴れるようになった!
【チェック項目 5】
・かすかな音も気になってイライラするようになった!
【チェック項目 8】
・親がささいな過失をしただけなのに、子どもが執拗に責め立てるようになった!
この4つの項目は、本来、すべての人間の脳にストレスをもたらし、不快な感情を生じさせるものです。
しかし、脳が健康な状態であれば、ストレス耐性の作用によって、寛容に受け入れることができます。
その結果、自然に受け流すことで、特に意識に上ることもありません。
ところが、受験ストレスがストレス耐性の限界を超えると、不快な感情を抑えることができなくなり、上記の4つの症状が表面化するのです。
これが、メンタル医学で「寛容低下」と呼ばれている現象です。
もちろん、たまたま、その日に嫌なことがあれば、誰だって「寛容低下」を起こします。
ただし、「寛容低下」が一時的なものではなく、恒常的に起こっていたら、その背後に「受験うつ」が隠れているリスクが一気に高まります。
では、「寛容低下」がどれくらい続いていたら、脳と心のSOSサインと考えるべきなのか?
その目安は2週間です。
一過性の「寛容低下」であれば、通常、1日か2日でもとに戻りますが、心の回復がそれより長くかかる場合もあります。
ただし、それが2週間を超えた場合は、一過性の「寛容低下」とは考えにくいです。
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精神面の問題と教育面の問題の見分け方
次に、どうすれば、教育面と精神面の問題を区別できるのでしょうか?
何らかの原因で子どもが勉強しなくなった場合に、それが単なる怠惰が原因だった場合は、きちんと叱ってあげる必要があります。
これが、教育面の問題です。
一方、その原因が「受験うつ」であった場合は、叱るということが適切な対応ではありません。
むしろ、それによって「受験うつ」はより悪化してしまいます。
これが精神面の問題です。
この二つの問題は、親がやるべきことがまるで正反対なので、その見極めは極めて重要です。
そのために、とても効果的なのは、以前のお子さんの様子を思い出し、変化があったのかをチェックすることです。
コツは、2年前や3年前の同じ時期のお子様の様子を、具体的に思い出すことです。
たとえば、2年前の誕生日は、「笑顔が絶えない素直な性格だった」・・・。
にもかかわらず、「今年の誕生日は、ほっといてくれと怒鳴り散らした」・・・。
ということであれば、メンタル面と脳機能に問題が生じている可能性が高いと言えます。
ドラマでは、短期間に登場人物の性格が変わるというのは、よくあるストーリー展開です。
しかし、現実には、根本的な性格は、半分が遺伝で決まり、残り半分が幼少期の環境で決まるということがわかっています。
思春期以降では、1年や2年で、根本的な性格は、ほとんど変わりません。
2年前に優しかったお子さんは、やっぱり現在でも、本当は優しいのです。
「ほっといてくれ」と怒鳴るようになった原因は、メンタル面と脳機能に問題が生じたためだという可能性が高いわけです。
以上を考慮に入れて、ぜひ、10項目を再度、チェックし直し、以下の判定基準をお読みください。
判定 「受験ストレス」の危険性
【該当する項目の数⇒0】
メンタル面が安定しています。
現状では「受験うつ」の心配はありません。
この調子で受験勉強を続けましょう!
【該当する項目の数⇒1つから2つ】
重い症状ではありませんが、受験のストレスで悪影響が出ている可能性は十分にあります。
逆にいえば、脳のコンディションを高めることで、試験の点数をアップさせられる余地は十分にあります。
そこで当院では、こうした比較的軽症の受験生についても、メンタル面と脳機能に関して、専門の検査と点数アップのための対策を行っています。
お気軽にお問い合わせください。
【該当する項目の数⇒3つから4つ】
受験ストレスの影響が、メンタル面だけでなく、脳機能にも及んでいる可能性があります。
試験についても、学力に見合った点数が取れない状態に陥っていると考えられます。
また、単なるストレスではなく、受験期のうつ症状「受験うつ」に陥っている可能性もあります。
ただちに専門の検査をお受けになるよう、強くおすすめします。
脳が適切に働いているのかどうか、正確に判定するには、光トポグラフィー検査が極めて有効です。
ぜひ、こちらのページもご一読ください。
【該当する項目の数⇒5つ以上】
メンタル面はもちろん、脳機能についても重大な障害が生じているのは、ほぼ間違いありません。
重度、あるいは中程度の「受験うつ」に陥っている可能性が極めて高いと考えられます。
ただちに専門の検査と治療が必要です。
決して放置はしないでください。
ただし、だからといって、志望校への合格をあきらめる必要はありません。
現在の成績は学力を反映したものではなく、メンタル面と脳機能の不調により、もたらされているのです。
つまり、本来の学力はもっと高く、治療次第で大きな伸びしろが期待できるわけです。
実際、当院で取り組んでいる「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」は、こうした重度の「受験うつ」のかたについても、脳科学とメンタル医学の力で大きな実績を残しています。
ぜひ、勇気を出して、合格への第一歩を踏み出してください。
磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース
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参照した文献リスト
① Olsson GI, von Knorring AL (1999) Adolescent depression: prevalence in Swedish high-school students. Acta Psychiatr Scand 99:324–331
② Weller EB, Weller RA, Fristad MA (1984) Historical and theoretical perspectives on childhood depression. In: Weller EB, Weller RA (eds) Current perspectives on major depressive disorders in children. American Psychiatric Press, Washington, pp 1–18
③ Angold A (1998) Childhood and Adolescent depression II. Research in clinical population. Br J Psychiatry 140:23–29
④ Edelbrock C, Achenbach TN (1980) A typology of child behaviour profile patterns: distribution and correlates for disturbed children. J Abnorm Child Psychol 8:441–470
⑤ Weller EB, Weller RA, Fristad MA (1984) Assessment and treatment of childhood depression. In: Weller EB, Weller RA (eds) Current perspectives on major depressive disorders in children. American Psychiatric Press, Washington, pp 27–35
⑥ Harrington R, Fudge H, Rutter M, Pickles A, Hill J (1997) Adult outcomes of child and adolescent depression: psychiatric status. Arch Gen Psychiatry 47:465–473
⑦ Choudhury P, Srinath S, Grimaji S, Seshadri S (1995) A study of childhood onset affective disorder. NIMHANS J 13:97–100
⑧ Akiskal HS, Weller ES (1989) Mood disorders and suicide in children and adolescents. In: Kaplan HI, Sadock BJ (eds) Comprehensive textbook of psychiatry, vol 2, 5th edn. Williams & Wilkins, Baltimore
⑨ Roberts RE, Attisson C, Forenblatt A (1998) Prevalence of psychopathology among children and adolescents. Am J Psychiatry 155:715–725