このページの要点は?
✓ 東大を受験し続けて14年という受験生を診察したら、本当の原因は非定型うつ病だったというケースがありました。
✓ これに限らず、超一流大学しか眼中にないと言いながら適切な受験勉強をせず、結果的に何年も浪人を繰り返してしまう受験生が急増しています。
✓ 浪人を繰り返す結果、予備校⇒宅浪⇒引きこもり・・・というスパイラルに陥り、最悪のケースでは40歳くらいまで引きこもって社会に適応できなくなってしまいます。
✓ 自分は努力しなくても成功する特別な人間なのだというプライドの呪縛に苦しみ、受験の出口が見えなくなっているのが原因です。
✓ 受験に特化した光トポグラフィー検査を行うと、こうした浪人を繰り返す受験生の脳には一種独特の波形が現れる場合が多いのです。
✓ ただし、もともと地頭は良い場合が多く、適切な治療を行えば成績は急上昇しやすいのも事実です。早期発見・早期治療が志望校合格への命綱です。
東大を受験し続けて14年・・・。
つまり、浪人生活14年目・・・。
私のクリニックには、そんな受験生がご来院されたことがあります。
もちろん、年齢はもう30代です。
この方は、極端な例ですが、模擬テストを受けたら、合格できる可能性が20%以下のE判定ばかり。
なのに、難関大以外は眼中にないという受験生が、最近、特に増加しています。
問題なのは、その中に、かなりの割合で「非定型うつ病」を発病している人がいるということです。
また、共通した心の闇を抱えており、放置しておくと無限に浪人を繰り返して、40歳くらいまで引きこもり生活を続けるようになります。
さらに、40歳になって就職しようと思っても、雇用条件の良い仕事は見つかるはずもなく、苦悩に満ちた中高年を迎えることも多く、その端緒となった浪人をしたことを後悔している人が数多くいます。
そうならないように、受験生の方、あるいはご家族で思い当たる人は、必ず、このページの記事を、最後までお読みください。
誤解してほしくないのですが、E判定の大学を目指すことが、良くないと言っているのではありません。
むしろ私のクリニックでは、高い目標であるE判定の大学を積極的に目指すよう指導しており、実際、毎年、多くの受験生を合格に導いています。
A判定の大学に合格するのは当たり前で、偏差値の高いE判定の大学に合格させることこそが、受験を専門とする心療内科医としての私のプライドです。
しかし、そのためには、専門の検査を受けて脳機能の問題点を探り、さらに、日々の勉強法を脳機能のタイプに合わせたやり方に変えていただくといった努力が必要です。
ところが、問題なのは、そのような努力は一切せず、現実から逃避するために安易に浪人を選択する受験生が多いということです。
では、どうして努力はしないのに、一流大学しか受験しようとしないのでしょうか。
その答えは明確です。
カウンセリングを行うと、実態のない空虚なプライドが空回りしている心理が浮き彫りになります。
自分は、東大に受かって当然の人間だ・・・。
しかも、努力をしなくても成功する特権を持っている人間なんだ・・・。
このようなことをハッキリ口にする受験生は一人もいませんが、メンタル医学の観点から発言を丁寧に分析すると、心の奥底で、こうした思い込みがうごめいていることが明確にわかります。
といっても、努力をせずに高い偏差値の大学しか受験しようとしないのは、楽天的な、ただの脳天気な受験生というわけではありません。
このままでは合格できるわけはないという現実は、きちんと理解できているのです。
合格して当然のはずなのに、現実には合格できない・・・。
このギャップに苦しみ、不満をつのらせ、不安もつのらせ、イライラし、親にあたるというのが、ほとんどのケースです。
実際、幼い頃は優しい性格だったのに、受験が近づくと荒れてきて、親に暴言を吐いたり、家庭で暴れたりするケースは、努力せずに高い偏差値の大学しか志望しようとしないという現実逃避の心の闇を抱えている場合がとても多いのです。
努力をせずに高い偏差値の大学に受かって当たり前だと考える受験生に対し、多くの親御様は、ワガママな性格に育てたせいだと考えていますが、私は、それは間違いだと断言します。
確かに、ワガママだという側面があるのは確かですが、それ以上に問題の根幹をなすのは、背後に「非定型うつ病」が隠れているということです。
受験生なら、自分の成績以上の大学に合格したいと思うのは、当然のことです。
また、努力しないで合格できるなら、そうなってほしいと思うのも、青年期の心の成熟段階としては当然のことです。
ただ、脳の扁桃体や前頭前野が正常に機能していれば、そうした欲望に自然に歯止めがかかります。
ところが、努力をしないのに高い大学に受からなければ嫌だと思う受験生は、こうした扁桃体や前頭前野の機能がうまく働いていないのです。
その根本的な原因が、非定型うつ病なのです。
実は、無限に浪人を繰り返す受験生の脳機能を、受験に特化した光トポグラフィー検査で調べると、一種独特の波形になることが多いのです。
昔、躁うつ病と言われていた病気は、現在は、「双極性障害」と呼ばれています。
努力をしないのに高い偏差値の大学に合格しないと我慢できない受験生の脳は、大きく分類すると「双極性障害」に近いカテゴリーに入ることが多いのです。
「躁うつ病なんて、まったく無関係だ・・・」
そうお感じになった方が大半でしょう。
でも、早合点しないでください。
浪人を繰り返す受験生の多くが、躁うつ病だと言う意味ではありません。
実際、検査データを注意深く読み取ると、典型的な「双極性障害」とは明らかに異なるいくつかの特徴が、検査データの波形から見て取れます。
だからこそ、こうした症状の受験生には、受験に特化した光トポグラフィー検査をお受けいただくよう、強くおすすめしているわけです。
また、問診すると、双極性障害に近い所見もあり、他院で「双極性障害Ⅱ型」という診断名を告げれているケースも少なくありません。
そもそも、「双極性障害Ⅱ型」は診断基準があいまいなので、はっきり違うと断言すること自体、不可能なのですが、私は、異なるものとして治療しています。
なぜなら、一般的な双極性障害の治療薬がさっぱり効かず、それで心療内科を渡り歩き、最後に私のクリニックに起こしくださるといったケースが多いからです。
プライドが暴走して空回りしている受験生は、磁気刺激治療で一気に回復しやすいのも特徴です。
このタイプの受験生は、もともと認知機能が高い場合が多く、脳機能の問題点を解決すれば、成績が急回復するのは、ある意味、必然の現象ともいえます。
まずは、受験に特化した光トポグラフィー検査をお受けになることをおすすめします。
2020年10月からは、こうした症状の受験生に特に効果のある「5つの特別診療」を治療プログラムに加えました。
以下の5種類の特別診療の中から、受験生の症状や心理状態に加え、光トポグラフィー検査や認知機能検査のデータをもとに、大きな効果が見込める専門の診療を選択して受けていただきます。
プライドが暴走して、それに心と脳が押しつぶされている受験生の場合は、脳内の扁桃体と呼ばれる部位が過剰に反応している場合が多く、特に「②イライラ対策特別診療」がとりわけ効果的です。
また、受験勉強の再開や志望校への合格を勝ち取るためには、「①やる気アップ特別診療」、「②集中力アップ特別診療」も必要になる場合が多く見られます。
思春期にプライドが暴走してしまう受験生は、幼児期に無意識のうちに自分の頭の良さを感じ取っていることが多く、実際、クリニックで脳機能を検査すると、本来は地頭が良いケースが多いのです。
ですから、磁気刺激治療で脳の状態をリセットし、さらにメンタル医学の手法で、噛み合わなかった歯車をほんの少し修正してあげるだけで、一気に成績が良くなるケースが多いのです。
その結果、模擬テストではE判定ばかりだった受験生が、現役で東大に合格された例もあります。
大切なのは、受験生本人もそのご家族も、現実から目を背けず、少しだけ勇気を出して適切な医学的対処へと、第一歩を踏み出すことです。
ぜひ、下記のお問い合わせフォームから、お気軽にご案内をご請求ください。
参照した学術論文のリスト
① Steinhausen, H., Haslimeier, C., & Metzke, C. (2006). The outcome of episodic versus persistent adolescent depression in young adulthood.. Journal of affective disorders.
② Rawana, J., & Morgan, A. (2014). Trajectories of Depressive Symptoms from Adolescence to Young Adulthood: The Role of Self-esteem and Body-Related Predictors. Journal of Youth and Adolescence.
③ Shanahan, L., Copeland, W., Costello, E., & Angold, A. (2011). Child-, adolescent- and young adult-onset depressions: differential risk factors in development?. Psychological Medicine.
④ Shivaswamy, V., Nagendra, K., Sanjay, D., Gouli, C., & Nk, K. (2012). PREVALENCE AND ASSOCIATION OF DEPRESSION AND SUICIDAL TENDENCY AMONG ADOLESCENT STUDENTS. International Journal of Biomedical and Advance Research.
⑤ Pelkonen, M., Marttunen, M., Kaprio, J., Huurre, T., & Aro, H. (2008). Adolescent risk factors for episodic and persistent depression in adulthood. A 16-year prospective follow-up study of adolescents.. Journal of affective disorders.
⑥ Parker, G., & Roy, K. (2001). Adolescent Depression: A Review. Australian and New Zealand Journal of Psychiatry.
⑦ Bennett, D., Ambrosini, P., Kudes, D., Metz, C., & Rabinovich, H. (2005). Gender differences in adolescent depression: do symptoms differ for boys and girls?. Journal of affective disorders.
⑧ Clayborne, Z., Varin, M., & Colman, I. (2019). Systematic Review and Meta-Analysis: Adolescent Depression and Long-Term Psychosocial Outcomes.. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry.
⑨ Pine, D., Cohen, E., Cohen, P., & Brook, J. (1999). Adolescent depressive symptoms as predictors of adult depression: moodiness or mood disorder?. The American journal of psychiatry.
⑩ McLeod, G., Horwood, L., & Fergusson, D. (2016). Adolescent depression, adult mental health and psychosocial outcomes at 30 and 35 years. Psychological Medicine
⑪ McLeod, G., Horwood, L., & Fergusson, D. (2016). Adolescent depression, adult mental health and psychosocial outcomes at 30 and 35 years. Psychological Medicine.
⑫ Woodgate, R. (2006). Living in the shadow of fear: adolescents' lived experience of depression.. Journal of advanced nursing.
⑬ Steinhausen, H., & Metzke, C. (2000). Adolescent Self-Rated Depressive Symptoms in a Swiss Epidemiological Study. Journal of Youth and Adolescence.
⑭ Allgood-Merten, B., Lewinsohn, P., & Hops, H. (1990). Sex differences and adolescent depression.. Journal of abnormal psychology.